アートパーツのスタッフが訪問し、見て、聞いて、触れてきました。
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第3弾「株式会社アユミ電機」

アートパーツのスタッフが、カーエレクトロニクスの「㈱アユミ電機」さんを訪問してきました!


一般客が気軽に訪れるという“電装屋さん”が東京都の町田市にある。 スタッフが訪ねた日も、次々とやってくるお客さんを温かく出迎える社員の笑顔と美味しいコーヒー。 「元々、お客様が来ることを想定した建物じゃないから狭いんですけど」と、どこか申し訳なさそうに苦笑いする社長の側で、すっかり居心地よさそうなお客さん。 今回の取材では、そんなお客さんの生の声も聞くことができた。

電装って?

その言葉の指し示すモノはあまりにも多い。 エンジンを始動させるためのスタータとバッテリのような、それが無くてはクルマが動かないモノから、ヘッドライトやウィンカーなどの灯火類に、エアコンやシートヒーターなどの快適性を高めるモノ。 まるで車両を覆うように存在するそれらを全て挙げなくとも、クルマに乗って出かけるという普段の状況を思い浮かべるだけで、もはや当たり前の存在であることを再認識できる。

これらは電装のほんの一部。

近年のクルマにおいては、絵の吹き出しに挙げた動作には何らかの電気制御が働いている。 電装は、当たり前のように行っていることに大きく関わっている。


多岐に亘る仕事

電装屋さんは、クルマの電気屋さんと言える。絵に挙げた例で起きるような電装品のトラブル解決は勿論のこと(それはほんの一部に過ぎない)、何と言っても“それが無くてはクルマが動かないモノ”の修理が出来るのが電装屋さんだ。

オルタネータの整備

これまでに、エンジンがかからない、かかりにくいといった経験はないだろうか。中には路上で突然に動かなくなってしまったなんてことを経験された方もいるかもしれない。 もしこれらの原因が、スタータやオルタネータの故障ならば、或いはバッテリーが原因であったとしても、最も頼りになるのは電装屋さんの職人だろう。


色んな“困った”に応えてくれる…だけじゃない。
こちらは車載装備の取り付け。この後に幼稚園バスも入庫。

㈱アユミ電機の二人の職人さんは、クルマが動かないという致命的な問題だけでなく、例えばエアコンの調子が悪い、ロック音を鳴らしたい、車内で足元を照らしたい、デイライトに実用性だけでなくファッション性もほしい、バックカメラが欲しい…と、様々な要望に応えてくれる。 車種も問わない。入庫するクルマは旧車や限定生産のスーパーカーまで幅広い。


実は、知らないうちにお世話になっている?

実は、これだけ多くの、かつ密接なモノを取り扱うにも関わらず、自動車電装業 (電装屋さん)の多くは下請け業であるため、一般客が直接出向くことができるお店は少ない。

自動車電装業 (電装屋さん)の多くは下請け業であるため、一般客が直接出向くことができるお店は少ない。

電装屋さんを訪ねたことが無ければ、カーディーラーや自動車用品店を通じてお世話になっているのが普通だ。 (無論これが全てではなく、カーディーラーや自動車用品店自体に技術者がいる場合もある。)


作業の中心は見えないところ
作業の中心は見えないところ。

ところで、カーエアコンにしろカーナビゲーションにしろ、自分で取り付けたのでなければ、どのように取り付けられているかを知っている人はあまり多くはないかもしれない。コンソールパネルやダッシュ ボードの内側にある入り組んだ配線のそれぞれの役割を知らずとも困ることはまず無いし、電力の供給元を意識する必要も無い。 しかし家電やパソコンの電源コードをつなぐ時、不用意な事故を起こさない配慮とは別に、なんとかして見苦しくないように工夫する人は少なくないのではないか。

テープもいろいろ。

必ずしも同列に扱うことはできないが、普段は目に見えないパネルの内側でも同じようなことが起きている。 いざパネルを外した時に、 「コードを保護する処置が行われているか?」 「干渉を避けるために固定されているか?」 「分かり易くきれいに配線されているか?」といった類の話は、 故障やトラブルを未然に防ぐことに役立つが、実際には同じ品物が同じ車種に取り付けらた状況を比べても、対応者によって大きな差があるのが現実だ。

ジレンマ

カーディーラーや自動車用品店では、お客さんから見えない場所ということで、あれもこれもとやったり、或いはまるっと新品に交換するケースも多いが、これは必ずしも悪いことではない。 整備・点検中に故障寸前の箇所を発見したので先手を打ったということであったり、新品に替えることで寿命が長くなることが明らかだということならば、(当然それらが事実で、納得できる説明があっての対応ならば、費用が多少高くなっても)お願いすることもあるだろう。
問題は、それらが事実であっても曖昧な説明しか出来ずに不信感を抱かせてしまうケースや、お客さんの承諾を得ずに対応し、見積り以上の高額な請求をするケース、最初から全て込みで対応し、何の説明もないケースなどではないか。
とはいえ、何と言っても素人には理解し難い部分も多い。場合によっては走行中の故障によって甚大な事故を引き起こすリスクまである。 お客としても、“安全に乗れるならお任せしたい”、“説明されてもわからない。特に興味もない”という人もいれば、“知りたいし、理解したい”という人もいるはずだ。
このある種のジレンマは、実用性なのか趣味性なのかといった、クルマに対する価値観以前に、クルマ自体の変化にも関係する部分がある。

コンピュータ制御と不透明性

近年、自動車の電気制御系部品に、かなりの割合でコンピュータ制御が取り入れられるようになった。 (冒頭の絵「これらはほんの一部。」に書き込んだ内容も、その全てにコンピュータ制御が絡んでいる。)
新車発表で注目される「新機能」の大多数もコンピューター制御によって実現した機能である。 車間距離を認識して危険を予測するものや、カーブ等で進行方向を照射するヘッドランプなど様々なものがあるが、これらの多くはドライバーの疲労低減を通じ、安全性に大きく貢献している。
しかし一方で、コンピューター制御に伴ってブラックボックス化が進んだため、“従来のような面白味”が減ったと嘆く声もある。

コンピューター制御に伴って進んだブラックボックス化

図が全てを語っているわけではなく、必ずしもこの図式に当てはまらないものもあるが、一つの現象として、見る人によってはメリットにもデメリットにも映るのではないか。 交換だけなら(少し知っていれば)どうにか出来るような状況では、プロに頼んだつもりが実際はそうではなく、見えないからといい加減な対応をされたなどというトラブルも発生している。

« 小話 »
従来のような面白味と書くと様々な解釈があるが、具体的に一つ挙げるならば、コンピュータを伴わない電気回路を組んで何かを動かすということが出来なくなってきたことだろうと思う。 かつては、お客さんがDIYで失敗したと言ってもなんとかなったが、今はコンピュータを壊してしまうとそれまでだという。決してコンピュータを否定する話ではない。 ただ、壊して直して覚えていく、そんなことが少しだけ難しくなったような気がしてか、はたまた、子供の頃に初めて回路を組んで明かりを灯した時の懐かしさを思い出してか、どこか寂しさを覚えるのである。
きちんと伝えるというポリシー
「エアコンガス循環モデル図」と題された紙

様々な意見や見方があるが、職人の姿勢は一貫している。
右は「エアコンガス循環モデル図」と題された紙である。パイプやホースなど1つひとつに番号が振られており、何を交換・修理したのかを示すために使われているそうだ。 見てわかる人へも、わからない人へも、丁寧に説明してくれる。時には施工箇所を写真に撮っておき、引き渡す際に見せながら説明することもあるそうだ。

施工箇所を写真に撮る。

相談ができる

車種を問わず、愛車に対して特別のこだわりを持つオーナーにとっては、親身に相談にのってくれる職人の存在は大きい。 会長の皆川文夫さんは、旧車を愛好するオーナーも頼れる数少ない職人さんだ。

会長 皆川文夫さん

取材に訪れた日も、分解されたオルタネータがあった。かつてはバッテリーの修理も多く、“バッテリー屋さん”と呼ばれていたこともあるとか。

分解されたオルタネータ

お客さんは「○○の調子が悪くて…」「○○をどうにかしたくて…」と切り出す人が多い。


DIYまでサポート?!

驚かされたのは、たまたま居合わせたお客さんが熱心に語ってくれたDIYの話だ。 なんと店舗休業日に工具や機材を貸出し、敷地内でDIYの場を提供してくれたという。その名も「DIYの会」。 そこには職人も自ら立ち会って、直接アドバイスをするというのだから心強い。

─ どうしたらいいのって聞きながら、わいわい遊びながらやってました(※)。ここに来れば誰か必ずいて、車種や志向が違っても情報交換ができる。勉強になるし楽しい。(※2014年9月現在、休業日の変更に伴い休止中)

と仰るお客さん。実はこの日も、益子焼で飲むコーヒーを頂きに来たんだと明かしてくれた。さらには、近所のディーラーに車を預けつつこちらに来たという方も。

─ ここのほうが楽しいので(笑)。

「あっ、今日はお金落とさなくてごめんなさい!」の発言に、一同もどっと笑ってしまう。取材の旨を伝えると、親切な常連さんたちは他にも様々なエピソードを語ってくれた。 例えば輸入車では、本国と日本で仕様が異なる場合があるが、それをあえて本国の仕様に戻してもらったであるとか、ディーラーで対応できないと言われたことが実現できた話であるとか。 コンピュータ制御をあえて退けて、物理的な配線だけで動くように修正した事例もあるそうだ。そこからは、個々のニーズや楽しみの多様性が感じられる。

─ メカニックは全車種を見なきゃいけないから、一つを深く追うことはできないけど、ユーザーにとってはそれ一台だから、すごく深く追う。こだわりのあるお客様ほど耳を傾けなきゃいけない生の声だと思う。

時には、お客さんのほうが仕様に詳しかったり、そこから思いも寄らぬ要望が挙がったりするそうだ。 だからこそ、ずっと耳を傾けてきたという証が、請け負うメニューの豊富さにも現れている。お客さんの声やDIYの会から生まれた商品はかなり多いという。

会長の奥様の和江さんと、社長の皆川哲也さん

信頼を寄せるのは一般客だけではない。ディーラーの営業マンに紹介されて訪れるお客さんまでいらっしゃるのだから折り紙つきだ。

« 素敵なお話 »
奥様の和江さんが「私の宝物なの」と言って見せてくれた一枚のお手紙があった。拝読すると、なんと宮崎県からご夫婦でいらっしゃったお客様からのお礼だった。 宮崎県からとなれば、車でゆうに半日以上はかかる距離であるが、お店へ到着した当時、そのご夫婦の奥様は大変疲れた様子で、和江さんは申し訳ない気持ちになったそうだ。 ところが、お帰りになってしばらくした後、「主人が(愛車のことで)聞ける所が出来たと喜んでいます。」という言葉とともに、たくさんの感謝の気持ちが綴られたお手紙が届き、和江さんはとても胸が熱くなったそうだ。 上品に綴られたそのお手紙は、筆者にとっても思わず涙腺が緩む素敵な内容だった。

変化の先へ

コンピューター制御の勢いは、電装屋さんにとっては明るいことばかりではない。事実、業界の職人さんは減っている。しかし、一方で困っている人はまだまだいる。コンピュータ制御であろうとなかろうと、職人を慕い、集う人もいる。

皆川昇志さん

商品やサービスを、一人ひとりへ最適化して届ける。
それは、どこまでも謙虚でいながら前へと進み続ける、そんな職人が居るからこそできることではないか。

まるで、ファミリーのような。

取材にご協力頂いたお客様(それぞれホワイトとブルーのSciroccoのオーナ様)と共に、記念撮影。既に日も暮れた後だったが、和気藹々とした雰囲気に溢れていた。

お客様と株式会社㈱アユミ電機のみなさんで記念撮影



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